アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎について

引用:マルホ https://www.maruho.co.jp/medical/articles/asteatosis/atopic/index.html

先天的に皮膚バリア機能が低下しており、後天的にさまざまな刺激因子が作用して、慢性に湿疹・皮膚炎を繰り返す(乳児期で2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上)病気です。喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎の家族歴や既往歴のあることが多いです。

 

【診断基準】

1)かゆみ、2)特徴的皮疹と分布、3)慢性・反復性経過の3項目を満たすものを、症状の軽重を問わずアトピー性皮膚炎と診断します。

 

【検査】
診断や重症度の参考のため、血清IgE値、末梢血好酸球数、血清LDH値、血清TARC値、血清SCCA2値などの血液検査を行うことがあります。

 

【治療目標】
症状が無いかあっても軽く、日常生活に支障がなく、薬による治療もあまり必要としない状態。
また、このレベルに到達できない場合でも、症状は軽く、日常生活に支障をきたすような急な悪化が起こらない状態。

 

【治療法】

①外用療法

 

・ステロイド外用薬
アトピー性皮膚炎治療の基本となる薬剤です。皮疹の重症度に応じて適切なステロイド外用薬を選択して、皮膚の炎症とかゆみを速やかに軽減します。この抗炎症効果によってバリア機能が回復すると、ステロイドの経皮吸収が急激に減少します。

 

・タクロリムス軟膏
ステロイド外用薬とは全く違う作用機序で炎症を抑制します。
使い始めには、外用したところがヒリヒリしたりほてったりなど刺激を感じることがありますが、塗り続けると1週間程度で感じられなくなります。
タクロリムス軟膏の有効成分の粒は比較的大きいので、アトピー性皮膚炎の皮膚の状態の悪いところからは吸収されますが、正常な皮膚からはほとんど吸収されず、「効くべきところには効いて、良くなったところ、もともと正常なところにはほとんど吸収されない」という特徴があります。

 

・デルゴシチニブ軟膏
種々のサイトカインのシグナル伝達に重要なJAK阻害薬で、免疫細胞の活性化を抑制します。外用後の刺激感はなく、顔面と身体に使いやすい外用薬です。

 

・ジファミラスト軟膏(モイゼルト軟膏)
国内初の外用PDE阻害剤です。
PDE阻害剤は、炎症性サイトカインなどの化学伝達物質の産生を抑制し、抗炎症作用を発揮します。タクロリムス軟膏のような刺激感はほとんどないと言われています。
2歳以上から使用できます。

 

~プロアクティブ療法~
プロアクティブ療法とは、再燃を繰り返す皮疹に対して、急性期の治療によって寛解導入した後に、保湿外用薬によるスキンケアに加え、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を週に2回など間欠的に塗布し、寛解状態を維持する治療法で、この外用療法が推奨されています。

 

②全身療法

 

・抗ヒスタミン薬

 

・シクロスポリン内服
既存の治療で十分な効果が得られない最重症の患者さんで使用します。副作用に、高血圧と腎障害があり、これらの既往歴がある方は使えない、また長期的な内服でこれらの副作用が出てくるので長期的な使用は難しくなります。

 

・デュピクセント皮下注射

生物が合成するタンパク質を応用して作られた生物学的製剤。2018年に発売されました。外用剤と併用して2週間ごとに注射します。基本的に自己注射になります。副作用は少なくアトピー性皮膚炎の長期寛解に使いやすい薬剤です。

 

・JAK阻害薬内服

免疫をつかさどる細胞の中にある「JAK」という部分に結合して、かゆみの原因となる炎症性サイトカインが過剰につくり出されることを防ぎます。皮膚の内部の炎症を抑えることで、皮膚の表面に表れる炎症やかゆみが改善します。2020年にオルミエント(バリシチニブ)がアトピー性皮膚炎に使えるようになり、2021年にリンヴォック(ウパダシチニブ)、サイバインコ(アブロシチニブ)が適応追加になりました。

 

アトピー性皮膚炎の患者様が小児含めて増えております。
アトピー性皮膚炎は、寛解と再発を繰り返すので、安全性に優れ、長期間使用できる外用剤での治療をまず提案し、症状の重症度に応じて、デュピルマブなどの生物学的製剤、JAK阻害薬の内服なども提案させていただきます。

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