多汗症について
多汗症は発汗が亢進している病気で、大きな分類として全身性多汗症と局所性多汗症があります。
【分類】
・全身性多汗症
高温多湿の環境や運動時、緊張してる時には、生理的に多汗症になります。
甲状腺機能亢進症、糖尿病、低血糖、感染症、パーキンソン病、悪性リンパ腫といった病気で多汗症になることもあります。
また解熱剤や向精神薬、ステロイドの内服、妊娠、肥満などによっても多汗になります。
その他、原因の分からない特発性の全身性多汗症もあります。
・局所性多汗症
手のひら、足の裏、脇、顔面など体の一部に多汗がみられます。緊張や運動などで多汗がみられることが多いですが、平常時でも蒸発量を超えた発汗をする事が多く、生活のQOLが著しく低下します。
【当院で対応可能な病状】
●原発性腋窩多汗症
日本ではおよそ20人に1人がかかる決して珍しくない病気で、多くの人が自分の汗に悩んでいます。ただ、この病気が社会的にあまり知られていないため、本人が病気と認識していない場合や家族や友人に理解されず悩んでいる患者様は多いと思われます。
【診断基準】
・最初に症状がでるのが25歳以下であること
・左右両方で同じように発汗がみられること
・睡眠中は発汗が止まっていること
・1週間に1回以上多汗の症状がでること
・家族にも同じ疾患の患者さんがいること
・わき汗によって日常生活に支障をきたすこと
※これらの2項目以上を満たす場合に、保険による治療が可能ですのでお気軽にご相談ください。
【治療】
・エクロックゲル(保険診療)
エクリン汗腺が交感神経から伝えられる汗を出す指令を受け取れないようにブロックすることにより、発汗を抑えます。日本で初めて保険適用が認められた原発性腋窩多汗症用の塗り薬になります。
・ラピフォートワイプ2.5%(保険診療)
グリコピロニウムトシル酸塩水和物が神経からの汗をだす指令をブロックすることで過剰な脇汗を抑えます。 ワイプ1枚(1包)を用いて両脇に1回使い切りで塗布する塗り薬になります。
・ボツリヌス毒素局所注射療法(保険診療)
A型ボツリヌス毒素を注射することで、発汗に関わるアセチルコリンを抑制して汗の量を減らします。1週間前後で汗の量が減少し、通常4~9ヶ月効果が持続します。
原発性腋窩多汗症に対して国内外で非常に推奨度の高い治療方法であり、日本においても2012年11月より重度腋窩多汗症に対して保険適用となっています。
・プロバンサイン(保険診療)
神経系に作用する薬で、アセチルコリンという物質の動きを抑制して、発汗を抑制します。服用後1時間ほどで効果が現れ、約5時間程度効果が持続します。多汗症に対する内服薬として唯一保険適用となっています。
●原発性手掌多汗症
【治療】
・アポハイドローション20%(保険診療)
日本初の原発性手掌多汗症治療薬でローションタイプの塗り薬になります。
有効成分のオキシブチニン塩酸塩は、エクリン汗腺に発現するムスカリン受容体にオキシブチニンが結合することで抗コリン作用を有し、汗を抑えます。