網膜疾患
網膜とは
網膜とは、カメラでいえばフィルムにあたり光を感じそれを視神経に伝える役割をしています。硝子体や網膜には多くの病気があり、放置した場合は失明に至るものもあります。
硝子体とは、眼球の内腔をうめる透明なゼリー状の組織です。この組織が網膜を牽引したり、炎症を持続させたり、混濁したり出血することによって視力に障害を及ぼします。硝子体手術の目的は、この混濁した硝子体や増殖した網膜硝子体の組織、あるいは貯留した血液や病原菌を除去することなどで、疾患に応じた目的・効果があります。
症状
自覚症状はさまざまで、視力低下、霞み、歪み、視野欠損などが起こります。黄斑という網膜の中心に異常がある場合に物が歪んで見えることがあります。疾患は多岐にわたり、黄斑前膜、黄斑円孔、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、近視性網脈絡膜新生血管などが考えられます。
主な疾患
糖尿病網膜症
糖尿病のコントロールが悪い状態が続くと網膜の毛細血管が虚血をおこし、出血や黄斑部に浮腫(黄斑浮腫)をおこし視力低下をきたします。またさらに進行すると新生血管が出現し大出血(硝子体出血)や牽引性の網膜剥離をきたします。
網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症は、網膜の血管(静脈)が目詰まりを起こし(閉塞)、網膜がむくんだり出血したりして、ものが見えにくくなる病気です。 この病気は、血圧の高い方、慢性腎臓病の方で発症するリスクが高いことが知られており、男性では40代以降、女性では50代以降に、加齢とともに発症しやすくなります。日本人では40歳以上の約50人に1人(2.1%)に発症し、有病率(ゆうびょうりつ)は他のアジア人や白人より高いです。
硝子体出血
網膜の血管が切れて出血することで、眼球内(硝子体)に出血が溜まった状態で高度な視力障害をきたすことがあります。
網膜剥離
網膜と硝子体に異常に強い癒着がある場合、硝子体の液化や牽引により網膜に裂け目ができ、 その下に水(液化硝子体)入り込むことにより網膜剥離がおきます。放置した場合は失明することがあります。
黄斑円孔
網膜の中心部(黄斑部)に穴が開く病気で視野の中央が見えなくなり視力が低下する病気です。早期の手術により視力回復が期待できます。
黄斑前膜
網膜の中心部(黄斑部)を含む網膜の後極部に膜が張り、その膜が収縮することにより視力低下や、 ゆがみをきたす病気です。
黄斑変性症
網膜の中心部(黄斑部)を含む網膜の下に新生血管が出現しそこからの滲出液や出血により高度な視覚障害をきたします。 加齢に伴う加齢黄斑変性症や高度の近視の方に生じる近視性黄斑変性症などがあります。
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎は、虹彩、毛様体、脈絡膜からなる、非常に血管が多い部位である「ぶどう膜」に起きる炎症です。「目がかすむ」「目が赤くなる」「飛蚊症」などの症状が現れます。
炎症を抑えるためにステロイド点眼や注射による治療等が早急に必要となります。
飛蚊症
飛蚊症
飛蚊症(ひぶんしょう)とは、小さい虫やゴミ、アメーバみたいなものがフワフワ浮いて見える状態です。青空や白い紙などを見ると、現れやすくなります。
多くの飛蚊症は、生理的な原因で起きている飛蚊症なので、心配はいりません。しかし、失明のリスクが高い眼科疾患の初期症状として、飛蚊症になるケースもあります。
飛蚊症は年齢に関係なく発症します。急な飛蚊症や重度の飛蚊症は、病気の可能性があり、早急な眼科受診をおすすめします。